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ブロック積擁壁の適用範囲と設計方法の変更について

「平成20年度 災害復旧工事の設計要領 P869〜872」の一部抜粋

ブロック積
ブロック積擁壁の適用範囲と設計方法が変わりまし告

国土交通省河川局防災課

◆ 平成18年度から適用方法を変更

 『空石積みの隣に控長が2メートルを超える大型ブロック積擁壁。直高が5メートルを超えたら急にバカでかい大型ブロック積擁壁に、こんな災害復旧が目立っている。何か違和感があり、おかしくなかい。』この様な議論や疑問がきっかけとなり、平成18年度にブロック積擁壁の設計方法の見直しを行いました。
 災害復旧といえどもブロック積擁壁の考え方は「道路土工―擁壁工指針」の「経験に基づく設計法」によること、つまり設計計算は行わないことに変わりはありませんが、従来、災害復旧で運用されていた適用範囲と設計方法について変更を行ったものです。

◆ 計算不要・・・土圧が小さい所に用いるのが原則

「道路土工一擁壁工指針」においては、ブロック積擁壁の設計に関して「主としてのり面保護に用いられ、背面の地山が締まっている切土、比較的良質の裏込土で十分に締固めがされている盛土など土圧が小さい場合に適用され、また、重要な箇所への適用には注意を要する」とした上で、直高7メートル以下の場合を対象に既存の施工実績を基にして定められた直高とのり面勾配の関係表を基にした設計法(経験に基づく設計法)を規定しています。なお、本設計法には、通常考えられる載荷重や雪荷重、嵩上げ盛土の影響なども加味されています

◆ 変更のポイントは適用範囲の拡大

 以上の問題点に配慮して平成18年度にブロック積擁壁の設計方法の見直しを行い、「災害手帳」の記載内容を改訂しましたが、そのポイントは次の通りです。

1)直高7メートルまで適用範囲を拡大

 直高が5メートルを超える場合にも「経験に基づく設計法」を原則として採用しました(表2-1参照)。これは前述の課題を踏まえると共に、「道路土工―擁壁工指針」との整合性を図ったものです。なお、盛土部の場合には次項に示す点を注意事項として追加しています。。

2)盛土部では土圧が小さいことを再確認

 上記の「経験に基づく設計法」の適用に当って、「擁壁背面が高い嵩上げ盛土となる場合や盛土部で擁壁直高が5メートルを超える場合などには、土圧が小さいこと(安定性)を確認するなど注意を要する」との注意事項を追加しました。盛土部においては、直高が高くなると土圧が相対的に大きくなること、及び背面に高い嵩上げ盛土がある場合には土圧が大きくなり、被災事例も見受けされるため直高5~7メートルの場合には比較的良質な裏込土で十分な締固めが行われている場合であっても「土圧が小さいことを再確認する」こととしたものです。

3)水処理及び良質な支持層に基礎を設置

 水処理及び良質な支持層に基礎を設けることの注意喚起を追加しました。これはこの2点を原因とした既往の災害事例が多いことを受けたものです。単に所定の根入れ深さを確保するだけではなく、良質な支持層に基礎を置くため深く根入れしたり、置換え基礎や地盤改良などを実施することが必要であり、これは直高が高い場合や斜面上に基礎を設ける場合に特に重要です。

表2-1 ブロック積擁壁設計方法の見直し内容

ブロック積擁壁
の条件
直高5メートル以下 直高5~7メートル
切土部 盛土部 切土部 盛土部
従前の設計方法 経験に基づく設計法 応力計算に基づき使用可
見直し内容 経験に基づく設計法(変更なし) 経験に基づく設計法 経験に基づく設計法の適用には注意を要する(土圧が小さいことを再確認)

◆ 「土圧が小さい」かどうかは総合的に判断

 「土圧が小さいことの再確認方法」については、災害担当者会議などで具体的な運用方法を示すことで設計方法の統一と簡便化を図っています。「土圧が小さい」と再確認できるかどうかは個別に設計者が総合的な判断により決定するものとしていますが、図2-5の試算結果を踏まえ以下の場合には相対的に土圧が小さいため「土圧が小さい」と判断して「経験に基づく設計法」を適用してもよいものとしました。

1)擁壁背面が比較的良質な裏込土(内部摩擦角が30度程度)で埋戻されている場合で、かつ背面が水平な場合

2)擁壁背面が良質な裏込土(内部摩擦角が35度程度)で埋戻されている場合で、かつ嵩上げ盛土(のり勾配:1割5分)がある場合にはその高さが4メートル以下の場合

3)擁壁背面が良質な裏込土(内部摩擦角が35度程度)で埋戻されている場合で、かつ嵩上げ盛土ののり面勾配が2割より緩い場合大

4)1)〜3)以外のケースで個別に土圧が小さいことを再確認した場合

 上記の1)〜3)は、図2-5に示す計算結果のうち最も大きな土圧が生じるケースを基準として、土圧が半分程度以下となる場合を土圧が相対的に小さいものとして、その条件を抽出したものです。なお、嵩上げ盛土高が幾ら高くなってもブロック積擁壁の高さ以上の高さの場合には土圧が増大せずに概ね一定を判断できる(道路土工―擁壁工指針66ページ参照)ため基準としたケースは、「経験に基づく設計法」が適用可能な直高7メートルのブロック積擁壁においても最も大きな土圧が生じる場合と言えます。